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INTERVIEW

田村響氏へインタビュー第二弾!

話はコンクールの時の話に。

田村「ロン・ティボー国際コンクールの前に、2年間くらい付き合っていた高校の後輩にすっぱりフラれました。(あ、一応補足ですが、僕が悪いので。笑) これはインタビューでよく言っていますが、その時に「神との対話」という本を読みました。そこに記されている事は、まるで自分の事を指摘されているかのようでした。そのあるところで『うまくいきたい、成功したい。』それはその通りに神様は叶えてくれる。ただ、うまくいきたい、成功したいっていう‘あなた‘を、作ってくれるという事。つまり成功したいっていうことは、その時点で成功はしてない。そうではなくて、既に今の状態で恵まれている。完璧じゃないかもしれないけれど、今に感謝。今成功しようと、している。そういう風に捉えなさい。という箇所がありました。コンクールでは誰もが賞が欲しいと思うけれど、それすると欲で自分がガチガチになっちゃう。僕はコンクール最中はその箇所だけを何度も読み、「大丈夫これで良いんだ」って自分に言い聞かせていました」(この時、田村さんは若干20歳でロン・ティボー国際コンクールで1位を受賞されました)

2018年3月4日
豊田市コンサート
ホールにて

​田村響さんと植村のMOZART

植村「なるほど。欲や勝負を超えたところで演奏したから、結果的に優勝したんですね」

植村「田村さんのステージ失敗談とかありますか?」

田村「(うなずきながら)、、、いっぱいありますよ。いきなり一オクターブ違ったところから弾き始めちゃったりとか。」

朴「!!!それ普通はないですね。弦楽器にはない種類の間違いかも。響さんにもあるんですね~」

植村「茉利奈ちゃんの失敗談、聞いた?」

西川  参照 

田村「え、本番で?それ、周りは長時間だから、ってわかってたの?」

西川「いや、4歳とかの話よ。」

田村「あ~~!なんだ」

朴「去年とかだったら、やばいじゃない」

植村「その時は、トイレいくよね。すみません、って言ってね」

 

話が、逸れました。

左からイシュトヴァン・コハーンさん(クラリネット)

田村響さん(ピアノ)

植村太郎(ヴァイオリン)

田村「まぁ失敗というか、うまくいかない時はもちろんたくさんありますよ。でも今思うとコンクールなどで結果がよかった時は、本当に何も気負ってなかった時で、結果がついてこない時は『いけるだろう』とかどこか傲慢気味?に思ってしまった時です。自分の場合は 無にさて欲を張らない事が大事のようです。」

植村「コンサートではどうでしょう?」

朴「どういう気持ちで本番に臨むとかですか?」

植村「そう。心づもり、気持ちづくりというか。本番前何してますか?」

田村「なるべく本番前は少し横になるようにしています。眠れなくてもゆっくり静かに。部屋は暗くしています。なのでスタッフの方が部屋にいらっしゃると、暗さに少しびっくりされます。笑 あとはなるべく神聖な気持ちになるように持っていけたらと。そしてどう表現したらいいか難しいですが、音楽で心が泣ける準備をしておく感じでしょうか。ちょっとこう、なれるような(身振り手振りで表現してくださっています)」

植村「ある種の感覚を立ち上げるのかな。」

田村「そうですね。(感覚を)絞るというか。うん、絞る感じですね。笑」

朴「子供の頃、どういう感じで練習していたか。聞きたいです」

田村「ごく普通だと思いますよ。7時間も8時間もできないですし。」

植村「3時間とか、4時間とか?」

田村「そうですね。あまり家に物がなかったです。ゲームもないしテレビも昔は父親の部屋にしかなかったので。あまりそういう誘惑はなかったですね。小学校高学年から中学生の時は、兄の許可がないと家から出れなかった事があります。笑」

植村「僕も、ゲームもテレビもなかったな。最近では練習しない日ある?」

田村「もちろん!でも留学して思ったのは、日本にいる時は夕飯を済ませた後23時くらいまで練習ができたので、練習しないと怠けているような感覚で、変な罪悪感がありました。でもヨーロッパの家は20時までしか練習ができなかったので20時以降はご飯作って、ゆっくりする時間を過ごしてみて、練習以外の身の回りの時間もやはり重要なんだなって実感しました。大変なこともありますが、生活をきちんとすることで心も豊かになり練習の効率もよくなる事を実感しました。なので今大学生を見てると、生活に手が回らないっていう話聞いたりしますが、そういうこともなんとか頑張ってやり繰りしてほしいなと思います。」

インタビュー終わりで、こんな貴重な話もしてくださいました。

 

田村「国際コンクール優勝後3年間くらい緊張とプレッシャーで暴食気味でした。」

植村「あぁ~いろんなプレッシャーある時期だよね。」

田村「そうですね、世に出ていくプレッシャーとか。それに慣れる訓練も自分なりにしたことを思い出します。」

植村「一番怖かった本番、どんな本番?」

田村「考えると何気にいつもこわいかもしれませんね。以前は、認められるかどうかなど人の目を気にしていました。今ももちろん全く気にならないわけではないですが、自分の目指す音楽が出来るのかな、やり切れるのかなっていう緊張感に変わってきました。それは経験や年齢を重ねたことで変わってきたかもしれません。そう考えると5年後、10年後、どんな自分になっているのかが楽しみでもあります。

大阪でもう一度学生経験したことはとても良かったと思います。ヨーロッパにい続けるとか外面よりも本当の意味で成長できる場所をと考えて大阪に住んでいる恩師に相談して決断した道でした。留学当時はずっとザルツブルクに住みたい!と思っていましたが、このままここにいてはダメだなとスパッと去ることができました。ピアニストとしてプレッシャーで緊張すごいしてたけど、いい意味で『まだ若いじゃん、挑戦者の気持ちで思い切りやれよ』と、そんな気持ちになれました。一本の道が枝分かれして違う流れができたというか。その時に髪色も今の金髪にもしました。いつ黒に戻そうかな・・」 

ケーゲルシュタットトリオ リハーサル

田村響さん(ピアノ)、朴梨恵(ヴィオラ)

イシュトヴァン・コハーンさん(クラリネット)

一つ一つの質問に、すごく真剣に考えてくださり、自分に合った言葉を丁寧に探すように、話してくださいました。それは田村さんのピアノの響きにも共通するような感じがしました。

どの話にも共感する事があり、また若い頃から脚光を浴び、様々な舞台に立たれていた田村さんの自分の心との向き合い方は、大変勉強になりました。貴重なお話を、どうもありがとうございました!!!

                          朴 梨恵

​田村響さんのインタビュー、第一弾はこちらです。

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